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2017年12月26日火曜日

第4回研究会のお知らせ

第4回研究会
松田 俊介(早稲田大学非常勤講師)
 「儀礼をめぐる情報の表象と編集―強飯式の人類学的研究」

日時: 2018年2月10日(土)13:00~
会場 :東方学会ビル2F会議室(千代田区西神田2-4-1)
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儀礼をめぐる情報の表象と編集―強飯式の人類学的研究
 本発表は、栃木県の日光周域に分布する強飯式を対象とし、文化的慣行が、現代の地域的な事情を受けつつ、いかに情報的に作られているか、どのような広範な領域の事象とつながっているか、系統を同じくする儀礼同士がその複数性のなかにあって、いかに関与しあい共在しているかについて論じたものである。
 たとえば、日光市七里における「子供強飯式」では、子どもが修験者役となり、頂戴人となった大人へ食責めをおこなう。儀礼内容には、里芋大食、五辛強制、責めのパフォーマンスなど、七里独自のローカルな情報が用いられ、脱規範的な機制が作られてきた。子供強飯式の事例からは、正統に対抗し、パラドクシカルな儀礼のなかに自分たちを介在させようとする住民の志向をみてとることができる。
 発表においてはこの他にも、住民の切実な陳情を祝賀の笑いの雰囲気のなかで行政へ訴える、鹿沼市上粕尾の「強力行事」や、外部者の起案を基点に、自文化の伝承・習俗を再帰的に振り返りつつ創設された、栃木市家中地区の「強卵式」などを取り上げ、強飯式の多様な書き換えについて論究した。そして、こうした多様な様式は、互いに参照しあうなどそれぞれが情報的にせめぎ合い、裏局域の複数性が生成的な共在の構図をなして、各様式を活性化させる「文化の拮抗作用」ともよぶべき効果を生み出してきたのである。
 強飯式の各事例のように社会定着した地域儀礼には、ブラックボックス化された歴史性があり、それぞれが非常に動的・相互的な交渉過程を内包している。こうした過程で人々が行ってきた情報的な表象・編集の営為を再可視化することこそ、現代における儀礼人類学の要諦といえるだろう。



※東方会館会議室使用料として4千円を出席者(学生除く)で分担いたします。
※参加人数把握のため、michinokai.2017@gmail.com(@を半角にして)に以下の内容をご返信ください。
1.研究会:参加の有・無
2.懇親会(同会場を予定):参加の有・無